・・・お前こそ人間のことがわかってない ・・・人間は
ロボットだろうが使用済みの切手だろうが犬だろうが金魚だろうが
好きな奴の為にはこうしてしまうものなんだ
<あらすじ>
「あんまり似てなくてごめんね――好きだよ」 亡くした恋人を追って自殺したはずが250年の冷凍保存の末、未来世界で目覚めた山田寅雄。世話係として起動したアンドロイドは優しく親身になってくれるものの、亡くした恋人の〝3割減〟の残念ロボットで――?いじっぱりな青年が愛を受け入れ、希望を求めて歩き出す、痛切な未来ラブストーリー。描き下ろし収録。
数百年の冷凍保存から目覚めて未来の世界を生きる人間と
できの悪いアンドロイドの切ないラブストーリー。
毎日暑くて暑くて仕方ないので
いっそ私も9月くらいまで冷凍保存されたいです。(寝言)
この作品さ・・・すごく哀しくて感動的で面白いんですけど
面白さをどう表現したらいいのか分からない!
読み終わった後、しばらく放心状態だったし
これがBLであるのが少し勿体無いと思わずにいられませんでした。
BLに全く興味ない人にもお勧めしたくなる作品だなー
恋人の光が死んでしまって
生きていても仕方ない、とビルから飛び降りた寅雄。
しかし奇跡的に一命をとりとめた身体を冷凍保存され
250年後に目を覚ますと
恋人そっくりのアンドロイドが傍にいた、というお話です。
なんかもう、飛び降りるまでの冒頭の19ページだけで
この作品の世界観に引き込まれますねー
これだけで一つのBLとして完成されてて
切ないやら萌えるやら・・・
(生前の光と寅のエピソードだけで一冊読みたい)
寅が、ずっと好きだった光と付き合うようになって
夢みたいだと涙ぐむシーンと
次のシーンの飛び降りとの対比が悲しすぎました。
「光がオレの全てだった」って
普段、寅がぜんぜん素直じゃないだけに泣ける・・・
このお話の面白い所は
ヒカルBはアンドロイドのくせに何をやらせても無器用で、
人間よりも劣っているという所ですね。
無器用だからリンゴも綺麗にむけなくて
影で一人で大量のリンゴをむいて練習していたり
無邪気で、けなげなヒカルBの姿が切ない。
初めてエッチした次の日にもうヒカルBは居なくなっていて
光そっくりの完璧なアンドロイドが新たに現れるっていう
残酷な展開にも胸がぎゅーーっと掴まれながら読みました。
山中ヒコさんの作品て、1話1話のラストが
すごく衝撃的な終わり方するんですよね・・・
これ、もし雑誌で追っていたら
毎回毎回「続きどうなるのおおお!?」って
発狂してたと思うwww
特に、ヒカルBと一緒の時にビルが倒れてきて
「1度目よりはずっといいじゃないかと思った」って所で
涙腺が一気に崩壊しました。
物語の後半で寅はまた冷凍保存によって250年眠るという
500年にも及ぶ壮大な物語になるのですが
ヒカルBと寅のやりとりがギャグ混じりで可愛かったおかげか
あまり重過ぎずに楽しく読めます。
やはり最後は山中ヒコさんの作品らしく、
多くを語らず、希望が見えるだけのラストなんですね。
描き下ろしの「250年の営み」は
ヒカルBの過ごした長い長ーーい年月が感じられて
ぐっと来るものがあります。
「遠くの夜空が昼間のようにかがやいて」って戦争のことかな・・・
2人が再会するのは本当に奇跡なんだなーって思えてまた泣けた。
表紙イラストの場面が分かるとまたジーンと来ます。
エロとかはほとんど無い作品ですが
とても完成度が高くて感動的なお話でした。
エロ
萌えた
★★★★★
切ない
★★★★★
笑える
★★
買って良かった
★★★★★
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1. 500年間。
好きな人が事故死した事も悲しいし、目覚めた世界が250年経っている事も悲しい。
そこには愛した人はいなくて、代わりのアンドロイドがいて、否応なく現実を突きつけられる。
それでもヒカルBは寅雄を慕い、寅雄もヒカルBに心を寄せていく・・・。
出来損ないのヒカルBの健気さが良かったです。
いつでも明るく寅雄を想い、別れた後も約束した尾瀬で寅雄を待っていることに、泣けました。
500年という長い物語は、たったひとり生き残った孤独を描いているのではなくて、好きな人の為に生きて、約束を果たす為に、必要な時間だったんだと思います。
本当にヒコさんらしい作品で、深いんだけど重くなく、それなのに心に響くというか。ああ、上手い言葉が出てこない。
とにかくすごく良かった。
再会した彼らが、幸せであると良いな。
>ayahitoさま
なんか上手く言葉にできないんだけど、BLとかラブとかそういうの抜きにしてもすごく良い作品だなーと思いました。ヒコさんますます好きになったなー。
>いつでも明るく寅雄を想い、別れた後も約束した尾瀬で寅雄を待っていることに、泣けました。
そう(´;ω;`)ヒカルBがいつも明るいのが余計に切なかったですね・・・
ヒカルBはいつもまっすぐで、人間はいつも矛盾をかかえてて、そんな2人が再会するまでの長い長い道のりを思うとじんわり泣けました。
>再会した彼らが、幸せであると良いな。
幸せであってほしいですねー!
描き下ろしを見たらなんだかほっとしたし、封入されてたペーパーもほっとしましたよね、なんかほのぼのw