いいんだ、今は。ここにいてくれるだけでいい
――ほかの人の話、しないで
<あらすじ>
静かな山の中で祖父と暮らす石蕗柊のもとに、祖父の昔の教え子だという男・藤澤和章が訪ねてくる。このまま一生山を出ずに生きていく、そう思っていた自分はなんて狭い世界しか知らなかったんだろう……生まれてはじめて触れた人の肌の熱さに和章への想いを自覚する柊。だが彼の瞳はいつも柊ではない“誰か”を見ていた……。「ふったらどしゃぶりWhen it rains, it pours」から一年、消えない傷を抱えた和章の愛と再生の物語。
という訳で「
ふったらどしゃぶり」のスピンオフが
あるということを知って光の速さで買った一冊。
和章のその後が書かれている作品です。
正直、和章ってあまり共感できないキャラだったし
全く他人に興味ないっぽい人だったので
幸せになれるんだろうか?って思ったんですが
こちらもすごく良いお話でした。
わりと最近出たばかりの作品だったんですね。
また夢中で一気に読み終わってしまった・・・(どうした私)
一人になって、仕事も手につかなくなり
無気力な毎日を送っている和章は
かつての恩師の家で書斎整理のバイトを始めます。
そこの孫である柊と出会うんですが
これがまた全然正反対のキャラクターでね、
この2人が本当に
ラブラブチュッチュするんですか?と
信じられない気持ちでいっぱいでしたよ!
人や物に全く執着しない、
植物を見てもキレイと思わない和章は
書斎で淡々と作業をするだけの毎日でしたが
世間から隔離されたような山奥の屋敷で
マイペースな柊とじいちゃんと一緒に過ごすことで
人間らしさを取り戻していくんですね。
和章は自分をしっかり持っている人なので
あまり他人から影響を受けないと思っていたのですが
じいちゃんが亡くなってしまう事で物語が一気に動きます。
何より、初めて「キレイ」という感情を持ったのが
柊の髪の色だったっていうのがステキなんですよ!
そこから初めてのキス、初めてのエッチに移る
一連の流れがステキすぎてギャー!ってなりました。
なぜか2人とも焦っていて
もっと近くもっと深くと、もどかしさを感じて
めちゃくちゃに求め合ってる描写が
たまらないです。
その後、和章の過去を知るシーンがあったりして
けっこう闇が深くて胸が痛みます。
前作では和章の言ってる事あんまり理解できなかったけど
あれは本当に和章の片想いだったんだなって
このお話を読んで初めて気付けますね。
幸せになれて良かったねぇ整も2人も。
それにしても一穂ミチ先生の作品って
ちょっとした小道具が印象的ですよね。
お葬式のときの金平糖だったり
手に刺さった棘を抜くシーンだったり
「Einmalistkeinmal」であったり。
この作品でも雨が効果的に使われていますし
ひとつひとつの描写が丁寧なので想像しやすくて
とても読みやすかったです。
一穂ミチさんの作品、もっと色々読んでみようかなー
1. ありがとうございます!
私ももちろん、「ふったら~」とこちらと両方読んだのですが、どっちもよかったですよね!
一穂さんの作品はいつも感心するというか、ハッとさせられる表現や言葉づかいがとても多いんですよね。
たんに私の語彙が少ないだけかもしれませんが、登場人物たちの心の動きを、あぁ、その言葉使いますか!そうやって言い表しますか!って、いっつも唸らせられちゃいます。
さらに、出てくるワードの選択の妙、といいますか…小説家として当たり前なんでしょうけど、すごく調べられている、知識が溢れている、と感じるんですよね。
兼業作家さんだというのが信じられません!
同人活動もされてますし、ホントすごいとしか言えません。
あ、ナイトガーデンのことじゃなく、一穂ミチさんについて語ってしまった…すみません。
この両作品は、ホントに誰もが評価しているように素晴らしかったです。
ただ、怒涛のえちシーンと、女性の恐ろしさに震えたという点で、「ふったら~」のほうが印象深いかな(笑)
一穂さんのブログで、小話がアップされていて、それがまたとってもいい!ですので読まれることをお勧めします。
お勧めといえば、私の一穂作品のナンバーワンは、やはり「オールトの雲」でしょうか。
一穂作品を読み始めた頃に読んで、もうただ泣きました。
あ!悲しい話しじゃないですよ!
素敵なハッピーエンドです。
BLだけじゃなく、家族の愛とか絆とか、とても優しいお話しでした。
う~ん、年をとると親とか子供とかに弱くなるなぁ。
最近、博物館に一人で来ているおじいちゃん(見知らぬ他人)を見て、なぜか涙ぐんでしまいました←何気に失礼
>みんち様
こんなに小説慣れしてないのにスルスル読めたのですごいなーと思いました。(他の作家さんとかあんまり分からないので何が基準か分からないですが・・・)印象的な言葉とかシーンが多いですよね。
>兼業作家さんだというのが信じられません!
まじすか・・・すごいなBL小説業界・・・
同人活動はたまにチラチラ噂は聞くので興味あります~
>「ふったら~」のほうが印象深いかな(笑)
そうですね。どちらかというと私もそうです!
小説ってめったに読み返す機会ないと思ってたけどこれは読み返すこと多そう。
>一穂さんのブログ
そっか~皆さんブログとかもチェックされてるんですね。私も読んでみます\(^o^)/
>「オールトの雲」
おk!今度暇なときに読んでみますね!
お年寄りとか見るだけで涙ぐんでしまうの分かりますよ!w私も最近めっきり涙もろくて・・・(;^ω^)